フィギュアスケートの採点のしくみ|技術点・演技構成点・GOE・ジャンプの基礎点

FIGURE SKATING

点数の意味がわかると、演技がもっと面白い。

フィギュアスケートの点数は、審判が「なんとなく」つけているわけではありません。ジャンプやスピンなどの技ひとつひとつに基礎点があり、その出来ばえを加点・減点し、さらにプログラム全体の質を別の物差しで評価します。しくみを知っておくと、テレビの得点表示や会場の電光掲示板の数字が読めるようになり、観戦がぐっと面白くなります。ここでは、シングルを中心に考え方を説明します。

総得点はこうして決まる

シングルとペアは、ショートプログラム(SP)とフリースケーティング(FS)の2回の演技の合計で順位が決まります。アイスダンスは、リズムダンス(RD)とフリーダンス(FD)の合計です。それぞれの演技の点数は、技の点数を足した「技術点」と、演技全体を評価する「演技構成点」の合計から、転倒などの「減点」を引いて出します。

項目 中身 決める人
技術点(TES) ジャンプ・スピン・ステップなど各要素の基礎点と、出来ばえ点(GOE)の合計 要素の種類・回転数・レベルは技術審判、GOEはジャッジ
演技構成点(PCS) コンポジション、プレゼンテーション、スケーティングスキルの3項目 ジャッジ
減点 転倒、時間の超過、音楽や衣装のきまり違反など 審判団
総得点 SPとFS(アイスダンスはRDとFD)の得点の合計 —

技術点を見ると、どんな技に挑み、どれだけきれいに決めたかがわかります。演技構成点からは、滑りの質や音楽の表し方といった、技の合間も含めた演技全体の評価が読み取れます。同じ技を跳んでも順位が分かれるのは、この2つの組み合わせによるものです。

技術点:基礎点と出来ばえ点(GOE)

技術点は「基礎点」と「GOE」でできています。基礎点は技の難しさで決まる点数で、国際スケート連盟が技ごとに表で定めています。GOEは、その技をどれだけ上手に行ったかを、ジャッジが−5から+5までの11段階で評価するものです。1段階はおおむね基礎点の10%にあたり、+5なら基礎点の50%が加わり、−5なら50%が引かれます。

国際大会では最大9人のジャッジがGOEをつけ、いちばん高い評価といちばん低い評価を除いた残りの平均を使います。1人の極端な評価で点数が大きく動かないようにするためです。下の表は、基礎点8.00点のトリプルアクセルを例にした計算の目安です。

GOE(ジャッジの平均) 加わる・引かれる点 この技の得点
+5 +4.00 12.00
+3 +2.40 10.40
+1 +0.80 8.80
0 0 8.00
−3 −2.40 5.60
−5(転倒など) −4.00 4.00

GOEで加点されるのは、高さや幅があるジャンプ、入りから降りまで流れが途切れないジャンプ、難しい入り方をしたジャンプ、音楽に合った動きなどです。反対に、着氷が乱れたり、手をついたり、転倒したりすると大きく減ります。2026-27シーズンからはGOEの基準が見直され、目に見えるミスがあると高い加点が出にくくなりました。

ジャンプの6種類と基礎点の考え方

ジャンプは踏み切り方で6種類に分かれます。つま先(トウ)を氷について跳ぶ「トウジャンプ」と、エッジ(刃)で踏み切る「エッジジャンプ」があり、前向きに踏み切るのはアクセルだけです。アクセルは前向きに跳んで後ろ向きに降りるため、ほかのジャンプより半回転多く回ります。そのため同じ回転数のジャンプの中でいちばん基礎点が高くなっています。

下の表は、反時計回りに跳ぶ選手の場合の見分け方と、近年使われてきた基礎点の例です。基礎点の表は国際スケート連盟が毎シーズン見直していて、2026-27シーズンにも改定がありました。試合の得点を細かく読むときは、そのシーズンの表で確かめてください。

種類 踏み切り 見分けるヒント 3回転の基礎点(例) 4回転の基礎点(例)
アクセル 左足の外側のエッジで、前向きに踏み切る 唯一の前向きの踏み切り。半回転多い 8.00 12.50
ルッツ 左足の外側のエッジに乗り、右足のつま先をつく 長い助走から後ろ向きに。踏み切りのエッジが内側に傾きやすい 5.90 11.50
フリップ 左足の内側のエッジに乗り、右足のつま先をつく ルッツと似ているが、エッジの向きが逆 5.30 11.00
ループ 右足の外側のエッジで踏み切る(つま先をつかない) 左足を前に交差させたような姿勢から、右足だけで跳び上がる 4.90 10.50
サルコウ 左足の内側のエッジで踏み切る(つま先をつかない) 右足を前へ振り込みながら、左足で跳び上がる 4.30 9.70
トウループ 右足の外側のエッジに乗り、左足のつま先をつく いちばん基礎点が低く、連続ジャンプの2つ目に多い 4.20 9.50

ジャンプは回転数が1つ増えるごとに基礎点が大きく上がります。ルッツの例では、3回転の5.90点に対して4回転は11.50点と、ほぼ2倍です。4回転ジャンプが勝負を分けると言われるのはこのためです。一方で、回り切れなかったり転んだりするとGOEで大きく引かれるので、確実に決められる構成を選ぶ選手もいます。

得点表に出てくる記号

公式の得点表(プロトコル)には、ジャンプの判定を示す記号がつくことがあります。技術審判が映像を確かめて判定するもので、記号がつくと基礎点やGOEが下がります。

記号 意味 点数への影響
q 回転が4分の1ほど足りない 基礎点はそのまま。GOEが下がる
< 回転が4分の1より多く、半回転より少なく足りない 基礎点がその回転数の約80%になる
<< 半回転以上足りない(ダウングレード) 1つ少ない回転数のジャンプとして扱われる
e 踏み切りのエッジが違う(ルッツ・フリップ) 基礎点が下がり、GOEも下がる
! 踏み切りのエッジがはっきりしない 基礎点はそのまま。GOEが下がることがある

スピン・ステップのレベル

スピンとステップには、ジャンプのような回転数のかわりに「レベル」があります。レベルは基礎(B)と1〜4の段階で、難しい姿勢や足換え、回転の速さの変化といった決められた特徴をいくつ満たしたかで技術審判が判定します。レベルが高いほど基礎点が上がり、さらにGOEで出来ばえが評価されます。2026-27シーズンは、スピンの特徴に新しい形が加わるなど、レベルの条件が見直されました。また、振り付けとして行う「コレオスピン」が新しく加わり、決まった基礎点にGOEだけで差がつく要素になりました。

演技構成点(PCS)の3項目

演技構成点は、技と技の間も含めたプログラム全体を評価します。近年は次の3項目で、ジャッジが0.25点きざみで最高10点までつけ、種目やプログラムごとに決められた係数をかけて点数にします。

  • コンポジション:リンク全体の使い方、構成のまとまり、音楽と動きの組み立て。
  • プレゼンテーション:音楽の表し方、表現の伝わり方、演技への入り込み。
  • スケーティングスキル:エッジの深さ、スピード、滑りのなめらかさ、どの方向にも自在に滑れるか。

スケーティングスキルは、ジャンプのように一瞬で判断できるものではありません。会場で見ると、ひと蹴りでどれだけ進むか、氷の上で音を立てずに方向を変えられるかといった違いがよくわかります。

減点とプログラムのきまり

転倒は1回につき1点を引くのが基本で、回数が増えると1回あたりの減点が大きくなります。演技時間が決められた範囲を外れたときや、音楽・衣装のきまりに反したときにも減点があります。プログラムに入れられる要素の数や種類にもきまりがあり、2026-27シーズンからはフリーのジャンプの要素が7つから6つに減りました。同じ種類の4回転を何度も跳べないなどの制限もあり、選手はその中でどのジャンプをどこに入れるか工夫しています。

テレビや会場で点数を見るコツ

  1. 技術点と演技構成点を分けて見る:技術点が高く演技構成点が低めなら大技で稼いだ演技、逆なら滑りと表現で評価された演技です。
  2. GOEの大きさを見る:同じジャンプでもGOEの差で1〜3点ほど変わります。きれいに決めた技は数字にもはっきり出ます。
  3. ショートとフリーの点差を覚える:ショートの差はフリーで逆転されることがあります。合計点で何点差かを意識すると、最終グループの演技が見やすくなります。

実際の大会の日程は日程、会場へ行く方はチケットの買い方もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 自己ベストと世界最高得点は何が違いますか。

自己ベストは選手それぞれの国際大会での最高点、世界最高得点はその種目全体での最高点です。国際スケート連盟が認めた国際大会の得点だけが対象で、国内大会の得点は含まれません。

Q. ジャッジによって点数がばらばらなのはなぜですか。

GOEや演技構成点は、基準にそって各ジャッジが評価します。目の位置や評価の重みの違いで差が出るため、最高と最低の評価を除いた平均を使い、極端な差の影響を小さくしています。

Q. 4回転を跳べば必ず勝てますか。

いいえ。4回転は基礎点が高い一方、転倒や回転不足では大きく減点されます。ほかの要素の出来ばえや演技構成点も合わせた総得点で順位が決まります。

Q. 点数の詳しい内訳はどこで見られますか。

大会の公式結果のページに、要素ごとの基礎点・GOE・ジャッジの評価が並んだ得点表が載ります。国際大会は国際スケート連盟、国内大会は日本スケート連盟の結果のページで公開されます。

出典と確認日

確認日:2026年10月14日。申し込む前に、主催者の最新案内をお確かめください。

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